
昔より、
大分の国東では人と鬼は長年の友でした。
ある日のことです。
岩を削った岩屋に住んでいた鬼は
村人がクヌギ林に入るのを目にします。
ちょっと気になり 付いて行き
そーっと
林の陰から見ていると


根倒し、
玉切り、
植菌、
伏せ込み
といった
なんだかやおねえ(大変な)作業を
村人がしていました。
来る日も
来る日も
鬼は村人の後を
こっそり付いて行きました。


二度目の秋を迎えた頃です。
原木から丸く大きなものが
生えているのを見つけました。
気になってしょうがない鬼は
思わず身を乗り出すと
それに気づいた村人は
「これは椎茸じゃよ。
食べたことはねえんかえ?
ほれ、ひとつたべてみよ。」
とちぎって差し出しました。
鬼はおそるおそるパクリ。
『うまい、うまい。』
そのおいしさに驚きました。


そのことを鬼は親しい僧侶に話すと
僧侶は
『人のやおねえ仕事を手伝えば徳をつめる。
徳をつめば神がお前を不動明王に上げてくださる。』と
教えてくれました。
それを聞いた鬼は
村人と共にしらしんけん(一生懸命)働き、
美味しく丸々とした
見事な椎茸をつくりました。
鬼も手伝う、
丸々とした国東の椎茸
『国丸』の誕生物語です。

